「あと10分でメールを送らなければならないのに、Wi-Fiに繋がらない」
今、あなたはそんな焦りの中にいるかもしれません。PCの画面右下にはWi-Fiの扇マークが表示されているのに、ブラウザを開いても「インターネットに接続されていません」と表示されるだけ。いつもなら勝手に出てくるはずのログイン画面が、今日に限って出てこない。
安心してください。あなたのPCは壊れていませんし、マクドナルドのWi-Fiが故障しているわけでもありません。
この記事では、ネットワークエンジニアである私が、PCの設定を一切変更することなく、たった3秒で強制的にログイン画面を呼び出す「魔法のURL」をお伝えします。再起動をして時間を無駄にする前に、まずはこの方法を試してください。
この記事を書いた人
👤 ネットワークエンジニア・トミー (Tommy)
フリーランス・ネットワークエンジニア / ノマドワーク歴12年 通信キャリアにて公衆無線LANスポットの構築・運用に携わった経験を持つ。現在はフリーランスとして、全国のカフェやコワーキングスペースを渡り歩きながら仕事をしている。「繋がらないイライラ」を技術的な裏付けを持って最短で解決する情報を発信中。 「私も毎日カフェで仕事をしています。繋がらない焦りは痛いほど分かります。だからこそ、精神論ではなく『技術的に確実な最短ルート』だけを教えます。」
なぜPCだけ繋がらない?「ログイン画面が出ない」正体はセキュリティ機能

まず、状況を整理しましょう。スマホでは問題なくログイン画面が出るのに、なぜPC(特にWindowsやMac)だけ画面が出ないのでしょうか。
結論から言うと、あなたのPCのセキュリティ機能が優秀すぎるために、マクドナルドWi-Fiのログイン画面を「怪しいサイトへの誘導」と判断してブロックしているからです。
犯人は「HSTS」という安全装置
通常、マクドナルドのようなフリーWi-Fi(00_MCD-FREE-WIFI)に接続すると、最初の通信をジャックして、利用規約への同意を求める「ログイン画面(Captive Portal)」へ強制的に転送する仕組みになっています。
しかし、あなたが普段アクセスしているGoogleやYahoo!などのサイトは、通信を暗号化する「https(常時SSL)」で守られています。さらに、最近のブラウザにはHSTS (HTTP Strict Transport Security) という強力な機能が備わっており、「このサイトには絶対に安全なルート(https)でしか接続させない」と監視しています。
ここで矛盾が起きます。
- Wi-Fi側は、ログイン画面(Captive Portal)へ無理やり転送しようとする。
- PC側(HSTS)は、「Googleに行きたいのに、勝手に別の場所に飛ばそうとしている!これは攻撃だ!」と判断し、転送をブロックする。
その結果、ログイン画面への転送が遮断され、ブラウザはただグルグルと読み込みを続けるかエラーを表示することになるのです。つまり、HSTS機能とCaptive Portalの仕組みが対立していることが、ログイン画面が出ない根本的な原因です。
【3秒で解決】ログイン画面を強制的に呼び出す「2つの魔法のURL」
原因が「httpsサイトへのアクセス」にあるなら、解決策はシンプルです。「暗号化されていない安全なhttpサイト」へアクセスすれば良いのです。そうすれば、HSTSの監視対象外となり、Wi-Fi側の仕組み通りに素直にログイン画面へ転送されます。
以下の2つのURLは、このトラブルを解決するためだけに存在すると言っても過言ではない「魔法のURL」です。
1. 世界共通の解決策:NeverSSL
最も確実な方法は、http://neverssl.com というサイトにアクセスすることです。
このサイトは、セキュリティ研究者が「意図的にSSL化(暗号化)しない」状態で運営している安全なサイトです。ここにアクセスすると、PCのブラウザはHSTSのブロックを発動せず、マクドナルドWi-Fiからの転送を受け入れます。その結果、即座にログイン画面が表示されます。
- 手順: ブラウザのアドレスバーに
neverssl.comと入力してEnterキーを押す。 - 結果: マクドナルドのログイン画面にリダイレクトされます。
2. マクドナルド専用の解決策
もう一つは、マクドナルド(および提供元のソフトバンク)が用意している専用のURLです。
- URL:
http://w.mdj.jp/wfcont
このURLも同様に、強制的にログイン画面を呼び出すトリガーとして機能します。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 今すぐ
http://neverssl.comをブラウザのブックマークバーに登録し、名前を「Wi-Fi接続用」に変更しておきましょう。なぜなら、この「HSTSによるブロック」はマクドナルドに限らず、スターバックスや空港、ホテルのWi-Fiでも頻繁に発生するからです。多くの人がその都度PCを再起動したり、設定をいじったりして時間を浪費していますが、このブックマークが一つあるだけで、世界中のあらゆるフリーWi-Fiで「ログイン画面が出ない問題」を3秒で解決できるようになります。
それでも出ない時の「奥の手」3選(DNS・シークレットモード)
上記のURLを直接入力してもログイン画面が出ない場合、ブラウザのキャッシュやネットワーク設定が邪魔をしている可能性があります。その場合は、以下の「奥の手」を試してください。
1. シークレットモード(プライベートブラウジング)を使う
ブラウザに残っている古いキャッシュやCookieが、新しいログイン画面の読み込みを阻害していることがあります。
- 解決策: Chromeなら
Ctrl + Shift + N(MacはCommand + Shift + N)を押してシークレットウィンドウを開き、そこで先ほどのhttp://neverssl.comにアクセスしてください。これで拡張機能やキャッシュの影響を完全に排除できます。
2. DNS設定を一時的に「自動」に戻す
もしあなたが、通信速度向上のためにPCのDNS設定を「8.8.8.8 (Google Public DNS)」などに固定している場合、これがログイン画面への到達を妨げている可能性があります。
- 解決策: ネットワーク設定を開き、DNSサーバーの設定を一時的に「自動取得」に戻してください。ログイン完了後であれば、再度固定設定に戻しても問題ありません。
3. デバイスの再起動(最終手段)
これらを試してもダメな場合のみ、PCの再起動を行ってください。ただし、再起動後もブラウザを開く際は、Yahoo!やGoogleではなく、必ず http://neverssl.com からアクセスすることをお勧めします。
60分で切れたらどうする?再接続と「賢いブックマーク術」
無事に接続できて一安心かと思いますが、一つだけ注意点があります。 マクドナルドのフリーWi-Fiは、1回の接続時間が60分に制限されています。
60分が経過すると自動的に切断されますが、この時もブラウザには「インターネット未接続」のエラーが出るだけで、再ログイン画面が自動で出ないことが多々あります。
そんな時こそ、先ほどブックマークしたhttp://neverssl.comの出番です。
切断されたことに気づいたら、慌てずにブックマークをクリックしてください。待機時間なしで即座にログイン画面が表示され、再接続の手続き(利用規約への同意)を行うだけですぐに作業に復帰できます。
まとめ:もうWi-Fiトラブルで焦らないために
マクドナルドでWi-Fiログイン画面が出ない主な原因は、PCの故障ではなく、HSTSというセキュリティ機能が正常に働いている証拠でした。
最後に、解決のための重要ポイントを振り返ります。
- 原因: httpsサイトへのアクセスが、ログイン画面への転送をブロックしている。
- 解決策: 暗号化されていない
http://neverssl.comまたはhttp://w.mdj.jp/wfcontにアクセスする。 - 予防: 上記URLを「Wi-Fi接続用」としてブックマークしておく。
この知識さえあれば、今後どこのカフェや空港に行っても、Wi-Fi接続で冷や汗をかくことはなくなります。さあ、無事にネットが繋がったそのPCで、素晴らしい仕事を成し遂げてください!
参考文献
- マクドナルド FREE Wi-Fi 利用方法 – 日本マクドナルド株式会社
- NeverSSL – What is this? – NeverSSL Project
- Captive Portal API – Apple Developer Documentation
