喪中はがきの続柄、夫婦連名ならこう書く!「義父」で迷わない文例とマナー【日本郵便推奨】

喪中はがきの続柄、夫婦連名ならこう書く!「義父」で迷わない文例とマナー【日本郵便推奨】

「義父」と書くべきか、「妻の父」と書くべきか。夫婦連名で喪中はがきを出す際、続柄の表記でペンが止まってしまう方は非常に多いです。

結論から申し上げますと、夫婦連名で出す場合の最も確実な正解は、「故人のフルネーム」を書き、「妻 〇〇の父」と添えることです。

「妻の父なんて書いて失礼にならない?」と不安に思うかもしれませんが、ご安心ください。これは日本郵便も推奨している、現代における最も誤解がなく、マナー違反にもならない「黄金ルール」です。この書き方なら、夫の会社関係者にも、妻の友人にも、一目で事情が伝わります。

この記事では、冠婚葬祭マナーアドバイザーの視点から、失敗しない続柄の書き方と、そのまま使える文例をご紹介します。


この記事の著者

佐々木 優子(ささき ゆうこ) 冠婚葬祭マナーアドバイザー / 挨拶状文例監修者
大手印刷会社の年賀状・喪中はがき文例監修を10年以上担当し、年間500件以上のマナー相談に対応。「形式だけの古いマナー」よりも「相手に誤解なく伝わる思いやり」を最優先する実務派アドバイザーとして活動中。

目次

なぜ夫婦連名の「義父」表記は危険なのか? よくある失敗パターン

夫婦連名の喪中はがきで「義父」とだけ書くと、夫の知人が夫の実父が亡くなったと誤解し、トラブルになる様子を図解したイラスト。

「とりあえず『義父』と書いておけば間違いないだろう」。そう考えて喪中はがきを作成してしまうと、思わぬトラブルを招くことがあります。私が過去にご相談を受けた中で、特に多かった失敗事例をご紹介しましょう。

ある共働きのご夫婦のケースです。奥様のお父様が亡くなり、ご主人が世帯主として夫婦連名の喪中はがきを出しました。続柄には単に「義父」とだけ記載しました。

すると、年明け早々、ご主人の会社の上司や同僚から、ご主人の実家に弔電やお悔やみの電話が殺到してしまったのです。受け取った方々は、「『義父』ということは、ご主人の奥様のお父様か、あるいはご主人の実のお父様か……いや、連名だからご主人の実家のご不幸だろう」と勘違いをしてしまったのです。

夫婦連名という形式と、単体での「義父」という表記は、非常に相性が悪く、読み手に「誰の親なのか」という混乱を与えてしまうリスク(対立関係)があります。

結果として、ご主人は会社で訂正の説明に追われ、ご主人のご実家にも無用な心配をかけることになってしまいました。「マナーを守ったつもり」が、かえって周囲を混乱させてしまった典型的な例です。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 夫婦連名にするなら、曖昧な「義父」だけの表記は絶対に避け、誰の親かを明確にしてください。

なぜなら、この点は多くの人が見落としがちで、受け取る側はあなたの家庭の事情(誰が亡くなったか)を詳しく知らないことが多いからです。「察してくれるだろう」という期待は捨て、誤解の余地をなくすことが、現代における本当の配慮です。

【結論】日本郵便も推奨! 誤解されない「フルネーム+関係性明記」の黄金ルール

では、どう書けば誤解を防げるのでしょうか。私が推奨する解決策は、「故人のフルネーム」を書き、その横に「妻 〇〇の父」と明記することです。

1. フルネームが「関係性」を雄弁に語る

まず、夫婦連名とフルネーム表記は、誤解を解くための最強の組み合わせ(解決策)です。

例えば、差出人が「佐藤 太郎・花子」で、故人の名前が「鈴木 一郎」とフルネームで書かれていれば、受け取った人は一瞬で「あ、名字が違うから、奥様(花子さん)のご実家の方だな」と理解できます。フルネームを書くこと自体が、実家の姓を示すことになり、関係性が一目瞭然になるのです。

2. 「妻の父」と書くのはマナー違反ではない

「でも、『妻の父』なんて書くのは幼稚で失礼では?」と心配される方もいらっしゃいます。しかし、それは誤解です。郵便サービスの権威である日本郵便も、公式サイトで「妻の父」という表記を推奨しています。

夫婦連名で出す場合、誰の父母かが分かりにくい場合は「妻の父」「夫の母」と具体的に書くと親切です。

出典: 喪中はがきのマナー – 日本郵便

このように、日本郵便と「妻の父」表記は、公式に認められた肯定的な関係にあります。 現代においては、分かりやすさこそが最大の「親切」であり、マナーなのです。

3. 「岳父(がくふ)」は無理に使わなくていい

妻の父を表す「岳父(がくふ)」という言葉をご存知の方もいるかもしれません。確かに「妻の父」と「岳父」は同じ意味を持ちますが、その伝わりやすさには大きな差があります。

「岳父」は格式高い表現ですが、若い世代や親しい友人には意味が通じないことが多々あります。「ガクフって誰?」と疑問を持たれてしまっては本末転倒です。相手に合わせて使い分けるのが理想ですが、迷ったら誰にでも伝わる「妻の父」を選ぶのが無難です。

そのまま使える! 続柄・ケース別 喪中はがき文例集

ここからは、実際にそのまま使える文例をご紹介します。印刷サービスの文例テンプレートを利用する場合も、以下の構成になっているか確認して選ぶと安心です。

パターンA:妻の父(義父)が亡くなった場合

最も一般的なケースです。フルネームと「妻の父」を組み合わせます。

【文例】 喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます

本年〇月 義父 鈴木 一郎(妻 花子の父)が〇〇歳にて永眠いたしました

平素のご厚情を深謝いたしますとともに 皆様に良き年が訪れますようお祈り申し上げます

パターンB:妻の母(義母)が亡くなった場合

義母の場合も同様ですが、フルネームを書くことで旧姓(実家の名字)が伝わります。

【文例】 喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます

本年〇月 義母 鈴木 良子(妻 花子の母)が〇〇歳にて永眠いたしました

本年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますとともに 明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます

パターンC:2親等(祖父母・兄弟)の場合

祖父母や兄弟姉妹の場合、同居していたかどうかが一つの判断基準になりますが、出す場合は以下のように書きます。

【文例】 喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます

本年〇月 祖父 鈴木 健造(妻 花子の祖父)が〇〇歳にて永眠いたしました

寒さ厳しき折柄 皆様のご健勝をお祈り申し上げます

続柄表記の選び方クイックガイド

ケース推奨される表記ポイント
妻の父義父 〇〇 〇〇(妻 〇〇の父)フルネーム必須。カッコ書きで補足すると丁寧。
妻の母義母 〇〇 〇〇(妻 〇〇の母)フルネームで実家の名字を示す。
夫の父父 〇〇 〇〇夫が世帯主の場合、単に「父」で通じるが、フルネームが無難。
夫の母母 〇〇 〇〇同上。

2親等は? 享年は? 迷いやすい喪中はがきのQ&A

最後に、続柄以外でよくご相談いただく疑問にお答えします。

Q. 祖父母や義理の兄弟でも喪中はがきを出すべきですか?

A. 一般的には2親等までが喪中の範囲とされています。 ただし、同居していない祖父母や、疎遠な義理の兄弟の場合は、喪中はがきを出さずに例年通り年賀状を出すケースも増えています。ご自身の悲しみの深さや、故人との関係性で判断して構いません。

Q. 享年は数え年ですか? 満年齢ですか?

A. 最近は分かりやすい「満年齢」が増えています。 以前は数え年(生まれた時を1歳とする)が主流でしたが、現在は日常感覚に近い満年齢で書くことが一般的です。「享年〇〇歳」と書く場合もあれば、単に「〇〇歳にて永眠」と書く場合もあります。どちらでもマナー違反ではありません。

Q. 句読点は入れてはいけないのですか?

A. 基本的には入れないのがマナーです。 儀礼的な挨拶状では、区切りをつけないという意味で句読点(、。)を使わず、一字空けや改行で読みやすくするのが伝統的なルールです。多くの印刷サービスのテンプレートもこの形式になっています。


まとめ:夫婦連名なら「フルネーム」と「妻〇〇の父」で決まり

喪中はがきの準備は、悲しみの中で進めなければならない大変な作業です。だからこそ、書き方で迷ったり、後から後悔したりすることは避けたいものです。

夫婦連名で出す場合は、「故人のフルネーム」を書き、「妻 〇〇の父」と添えること。 これさえ守れば、マナー違反の心配はありませんし、誰に対しても失礼になりません。

形式にとらわれすぎず、故人を偲ぶ気持ちを大切にしてください。最近のネット印刷サービスでは、今回ご紹介したような「マナー対応のテンプレート」が豊富に用意されています。スマホから5分程度で、正しい続柄の喪中はがきを作成できますので、ぜひ活用して、年末の不安を解消してください。

参考文献

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